さまざまな食品中に含まれている「ビタミンA」。
ビタミン類は、私たちのからだを調整してくれるはたらきがあるため欠かせない存在です。
ビタミンAの基礎知識
油脂に溶ける脂溶性ビタミンのひとつで、化学的にはレチノイドと呼ばれる「ビタミンA」。
ビタミンAは、総称のことを表しています。
主に、動物性の食品に含まれる「レチノール」と、植物性の食品に含まれる「プロビタミンA(α-カロテン・β-カロテン・β-クリプトキサンチン)」の2種類があります。
ヒトの血液中に含まれているビタミンAのほとんどはレチノールで、視覚にはたらきかけるレチナール、がんにはたらきかけるレチノイン酸という成分もビタミンAにあります。
私たちが食物から摂る身近なビタミンAとしては、「レチノール」と「β-カロテン」です。
ビタミンAの単位は、レチノール活性当量(μgRAE)として表されています。
緑黄色野菜に含まれているβ-カロテンは、体内で必要な分だけビタミンAに変わる優れた成分です。
ビタミンAの効果
■ 健康を維持する
皮膚、のどや鼻、肺、消化管などの粘膜を保護するはたらきがあるため、細菌などから身体を守ったり、抵抗力を増す効果があります。
乾燥、角質化などを防ぎ、肌荒れ防止、風邪や病気の予防にもつながります。
■ 視力のはたらきを助ける
暗いところで目が見えなくなる 夜盲症(とり目)を防ぎます。
ビタミンAには、視覚の網膜にもはたらく効果があります。
■ 抗酸化作用
ビタミンA前躯体のβ-カロテンは、ビタミンCやビタミンやと同じように抗酸化作用があります。
有害は活性酸素を消去するはたらきがあるため、老化防止に役立ちます。
ビタミンAを多く含む食材
動物性の食品であるレチノールには、レバー、うなぎ、バター、チーズ、卵などが挙げられます。
β-カロテンは、モロヘイヤ、かぼちゃ、にんじん、春菊、ほうれん草、小松菜、チンゲン菜などの緑黄色野菜に豊富に含まれています。
食品 | 1食あたりの目安量 | 含有量(μgRAE) | |
肉 | 豚肝臓(レバー) | 50g | 6,500 |
鶏肝臓(レバー) | 1個 50g | 5,600 | |
魚 | アンコウ・きも | 1切れ(50g) | 4,150 |
うなぎの蒲焼き | 1串(100g) | 1,500 | |
銀だら | 1切れ(80g) | 1,200 | |
野菜 | モロヘイヤ | 1/2袋(50g) | 420 |
西洋かぼちゃ | 120g | 396 | |
にんじん | 中1/4本(50g) | 360 | |
明日葉 | 10枚(80g) | 352 |
効率よくビタミンAを摂取するには
動物性の食品に含まれるレチノールを摂る方が、緑黄色野菜に含まれるβ-カロテンよりも効率は良いです。
ビタミンAは脂溶性ビタミンのため、野菜は生で食べるよりも油と一緒に調理すると吸収率がアップします。
ビタミンA,C,Eを一緒に摂ることによって、お互いを高め合うはたらきがあるため、相乗効果が期待できます。
ビタミンAが欠乏すると皮膚や呼吸器の粘膜が弱くなり、感染症にかかりやすくなってしまいます。
ビタミンAの過剰摂取
ビタミンAは脂溶性のため、特に動物性食品に含まれるレチノールを摂り過ぎると体内に蓄積し、嘔吐や頭痛などの症状や脱毛、筋肉痛などの過剰症が起こります。
しかし、普段の食生活において摂り過ぎが心配されることはありません。
レバーの食べ過ぎ、サプリメントの過剰摂取には注意が必要です。
妊娠初期に摂り過ぎると、胎児の奇形が増えることも確認されています。
β-カロテンは、体内で必要な量しかビタミンAに変換されず、残った分は抗酸化物質として作用するため、過剰症になる心配はありません。
厚生労働省によるビタミンAの1日の推奨摂取目安量(2020年版)
18~29歳 女性 650μgRAE
30~49歳 女性 700μgRAE
耐容上限量 2,700μgRAE